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委任状とは、ある者が、自分以外の誰かに対して、自分の代理人として行為する権限を授与する書面です。委任状を発行する者を「委任者」といい、委任状によって委任者の代理人となる者を「受任者」といいます。
委任状の発行が必要な理由は、主に3つあります。
委任状は様々な用途に使用することができますが、よく使われる目的は契約締結権限の付与です。委任者が受任者に対して契約締結権限を付与し、受任者がその権限内で代理人として締結した契約に、委任者が拘束されます。特に、不動産を売却しようとするときに、委任状が使われることが多いです。不動産の売却は、購入希望者を探し、契約条件を交渉し、売買契約を締結するまで、長い時間を要し、内容も複雑で専門的になることが多いため、不動産の売却に詳しい者を代理人に選任して売却してもらうのです。
委任状は、行政機関や金融機関などを相手とする手続行為のために作成することもあります。ただし、行政機関や金融機関が準備した独自書式の委任状を使用するよう指定されていることがありますので、このような場合はその独自書式の委任状を使用する必要があります。
訴訟手続を弁護士に依頼するための委任状(訴訟委任状)は、その弁護士が使用している特別な書式を使用する必要があります。
いいえ、口頭で権限を授与するだけでも、有効な代理権授与となり得ます。信用できる身近な人同士でちょっとした契約を締結する程度であれば、口頭で代理を依頼して契約を締結することもあるでしょう。それでも代理人による契約として有効になり得ます。
しかし、多くの場合、受任者が代理人として契約を締結しようとする際、その者が真に代理人として権限を有していることを確認できないと、契約相手は契約締結に応じてくれません。そのため、受任者は、契約相手から委任状の提示を求められることが通常です。よって、実務上は、委任者がきちんとした委任状を作成して受任者に預けておかなければ、受任者が代理人として活動することができませんので、委任状の作成が必要となります。
委任者となることができる者に制限はありません。個人でも法人でも、代理人によって行為をする必要がある者であれば誰でも、委任者となることができます。
受任者となることができる者にも制限はなく、個人でも法人でも受任者となることができます。ただし、受任者は、委任の範囲内であれば自由に契約を締結することができ、その契約の効果は委任者に帰属します。つまり、委任者としては、自分が読んだことのない契約書に拘束される可能性があります。よって、委任者は、信頼できる者を受任者に選任することが重要です。多くの場合、委任者の親族や、委任者と同じ会社その他の団体に所属している身内や、実績あるエージェントや弁護士等の信頼できる事業者などの、委任者が信用できる者が受任者に選任されます。
委任状には、有効期間を明示することができます。有効期間の長さに上限や下限はありませんので、委任事務の完了に必要な期間を見積もって、適切な期間を記入することになります。期間内に委任事務が完了しなかった場合は再度委任状を発行しなければならないという手間が生じますが、委任状自体に期間が記載されますので、期間経過後にその委任状が濫用されるリスクを防止できます。
委任状は、有効期間を明示せずに発行することもできます。この場合、委任者が受任者に対して委任終了通知をするまで委任状は有効です。委任状自体に期間が記載されないため、委任者から委任終了通知を受けた後にその委任状が濫用されるリスクを排除できません。よって、有効期間を明示しない場合は、委任終了通知をする際に委任者が委任状の原本を回収しておくと安全です。
委任状は、1部プリントアウトして委任者が署名押印し、受任者に交付してください。受任者は、自分の代理権を対外的に証明するためにこの委任状の原本を提示する必要がありますので、委任状原本を大切に保管し、代理行為をする際は携行する必要があります。
委任者が押印する印は、通常は実印である必要はありませんが、不動産売却の委任状など一定の場合は実印が求められることがあります。
委任状は、委任者が一方的に発行するものですので、受任者が署名押印をしなくても効力は発生します。しかし、書面の提出先から受任者の署名押印を要求される場合がありますので、受任者の署名押印も記入しておく方が安心です。
委任状に記載する委任事項は、できる限り具体的かつ限定的に記載することが重要です。
委任事項が「・・・に関する一切の権限」のように広すぎると、委任者が予期していなかった内容の契約が締結され、委任者がその契約に拘束されてしまう恐れがあります。
このような危険を回避するため、委任事項はできる限り具体的かつ制限的に記載する必要があります。
委任状には、民法の代理に関する規定(99条~118条)が適用されます。
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委任状 - テンプレート、WordとPDF形式で記入するサンプル文書
国: 日本